バレンタインの思い出

 

ワタルとカンナとシバとで、お茶の時間。

「そう言えば、あの時はすごかったな。」

「『あの時』って?」

「ほら、バレンタインの日、キクコの部屋……というか、しばらくリーグ内が、花であふれかえっていただろう?」

「そうだったな。」

「そうそう、逆チョコならぬ、お花だったわね!」

「チョコを膨大にもらっても困るからって言って、『でも、何かあげたいんです!!』という相手側の気迫に1000歩ほど譲って、1人1輪の花になったんだよな。」

「どれもきれいだったわ〜。愛がこもっているというか、なんていうか、気難しいキクコに反して、にぎやかな、和やかな、穏やかなファンの人が多いのよね。」

「全部の花の面倒を見て、全員にもらった手紙の返事を書いていたよな。

あと、花と向き合っているキクコは、いつもと表情が違うんだ。あんなにつつましやかなキクコの姿を見たのは、生まれて初めてだったよ!」

「ワタルったら、そんなこと言って……あっ、ワタルの後ろにゲンガーがいるわよ!」

「何!?」

「フフフ、冗談よ。」

「カンナ、あのな……。」

「2人とも。ゲンガーたちは側に居ても、姿が見えるとは限らないぞ。」

「……。」

「……。」

「シバぁぁ!!」

「うっ。俺にすがられても助けてやれんぞ。」