ぶつかって

 

どーん!

ぼんやりと歩いていたヒカリに誰かがぶつかった。

「いたっ!」

「おう、わりぃ、わりぃ!!」

謝っているわりには、声の調子はかなり明るい。

「ジュン!?」

何事かと顔を横に向けると、忘れもしない幼なじみが立っていた。

「よお、ヒカリ、久しぶりだな!」

ニコニコと笑いながら片手をあげている。

以前と変わらないその表情・態度に、ヒカリはちょっとだけ安堵した。

「つーか、元気ないな?」

「え?」

「おいおいおいおい、それじゃ、困るぜ!だってよー、俺が1番!おまえが2番!だろ!?」

ヒカリはジュンの話について行けずに戸惑っている。

「なんだってんだよ〜!最強・最高のポケモントレーナーが俺で、ヒカリは2番目な!!

そのヒカリがここで油を売ってるんじゃあ、俺も張り合いがないからさあ〜。

つーわけで、元気が足りないヒカリは、罰金100まんえんな!」

それを聞いてヒカリは肩の力が幾分抜けたように思えた。

「ふふっ。」

急に笑い出したヒカリにジュンは焦って、ますます早口になる。

「ななななんだってんだよ〜!順番が逆、とでも言いたいのか!?」

ヒカリは首を何度か横に振った――が、

「う〜ん。」

としばらく考え込み、

「ふふふ、うん、そうかもしれないね。」

と笑った。

 

 

変わらない幼なじみのジュンに感謝。