あたし
今、あたしはオーキドの研究所にいる。キクノもだ。
さっきから、オーキドとキクノが楽しそうに話をしている。
「調子が狂うねえ……」
という、このラクガキから始まった、キクコ語り――。
「細い手じゃのう。」とつかんだあんたの手は大きい。
「前より腕も細くなった。」と触られて、思わずあんたをひっぱたいたあたし。
どんなほめ言葉より、あんたが側にいることの方がうれしい。
「好き。」と言ったら、未来は変わっていたかい?
「好き。」と言われたかったかい?あたし?
引き出しの奥にしまったラブレター。
今も昔もあんたを見ているあたし。
今も昔もあんたしか見ていないあたし。
ポケモントレーナーとしてのあたし。
四天王としてのあたし。
あんたの幼なじみとしてのあたし。
そして、ひとりの女としてのあたし。