夏祭り

 

 (あっ、オーキドだ。)

 

 キクコは浴衣を着て歩いていた。
 キクコちゃんファンクラブメンバーからの差し入れのわたあめを片手に持って……。

 しばらくして振り返ると見慣れた人物がいた。

 すぐには気がつかないオーキド博士。
 周りを囲まれた若い女性研究員の浴衣姿を特に深い意味もなく、ほめて笑っている。

 (ムッ!)
 と無意識にかんにさわるキクコ。

 ようやく気がついたオーキドとキクコの目が合う。
 サッと顔をそらすキクコ。

 前を向いて行こうとする――がオーキドに「キクコ。」と呼びとめられる。

 「……。」
 「おお、浴衣か。」

 上から下まで。下から上まで見るオーキド。

 「いいのう。」
 「じろじろ見るんじゃないよ。」
 「よく似合っておる。」
 「ほめても何も出ないよ。」

 その後、何だかんだで、2人で夜店を回るのであった。

 「キクコ。」
 「なんだい?」
 「これはもしかしなくてもデー」
 「さあ、そろそろリーグに戻ろうかねえ。」