わしがいるじゃろう?

 

 手をつないだ。
 あんたの手は温かかった……。

 

 「杖がない?」
 「ちょっとわけあってね。」
 「ほう。」

 あごを撫でながらあんたはしばらく考え込んでいたようだったけれど、
「ほら。」
と笑顔であたしの前に片手を差し出した。

 「なんだい?」
 「手をつないで歩けばいいじゃろう?」

 いとも簡単に言ってくれるものだ。

 あたしはためらったし、恥ずかしかったけれど、でも、正直なところ、うれしい気持ちの方が大きくて――。
 だから、そうっと手をオーキドの方へと伸ばし…………。

 ガッシャーン!!

 もう少しというところで、オーキドは派手にあたしのゲンガーたちに蹴り飛ばされていた。

 「……。」
 「ううう……。」
 『あたしの主さまに手を出そうなんて1億年以上!早いのよ!!』
 『俺の主さまに対してそんなことをたくらむなんて、いい度胸じゃねえか!!』

 ゴオオオオ〜〜〜。

 さすがは鍛え抜かれたあたしのかわいい子たちだ。
 怒りのオーラも半端ない。

 「キクコぉ〜、助けてくれ〜〜!!」
 踏まれるわ、蹴られるわ、あれこれ言われているわで、収拾がつかない状態だった。
 あたしは(やれやれ。)と思いながらも、ゲンガーたちを止めに入ろうと動いた。
 すると「ああ……。」とオーキドが顔を上げて言った。
 「細い足じゃのう。」

 「!!」

 攻撃を受けて痛いはずなのに、オーキドの顔は緩んでいる。
 あたしは体中がかあっと熱くなり、かみつくように言う。

 「ゆっくりと眠らせておやり!!」

 そう、その声に続いてゲンガーたちが繰り出したわざは“さいみんじゅつ”だった……。