まずは一服

 

つるは頭を抱えていた。

「ごめんよ、センゴク。」

そうセンゴクに声をかけたものの、相手からの返事はない。

つるの部屋は今やびしょびしょになっていた。悪魔の実の能力が暴走したからだ。

それは5分前の事だった。

つるの部屋に来たセンゴクがつるとの会話を終え、部屋を出ようとした時につまずいたのだ。

よりによって、つるに覆い被さるようにして……。

普段なら素早くつるは避けただろうが、センゴクが床にぶつかってしまうと、動かなかった結果がこれだ。

至近距離プラス好きな相手に抱きしめられたつるは、己が思っていた以上に動揺し、能力を発動させてしまったのだった。

洗われて、そのままなかなか元に戻らないセンゴクに、つるはそっと触れた。

「センゴク、本当にーー。でも嫌じゃなかったんだよ。」

「それなら良かった。」

「セ、センゴク!?」

「おっと、両手は下ろしてくれ、おつるさん。それと、すまなかった。」

「センゴク。」

「おつるさん。」

見つめ合う2人。

「雨降って地固まるとはこの事かの?」

知らぬ間に、せんべい袋を抱えた人物が2人の前に立っていた。

「ぎゃー!!ガープ、いつの間に!?」