手を握る
*センつる(恋人同士設定)です。
手を握っていた。特に意味もなしに……。
いや、そうではない。 きっと私の不安な気持ちが伝わったからだろう。 互いに下を向いたまま黙っていた。
事あるごとに謝るので、「それはやめて。」と言って以来、彼は口ごもっている。
時計を見て、(あと十分か……。)と思えば、彼は私を抱きしめた。 手はつないだまま片手で抱き寄せられた私は、(温かい。)そう思う。
私が顔を上げるとセンゴクがこちらを見ていた。優しい顔つき。 目が合い、そのような表情でずっと私を見つめていたのかと思うと、恥ずかしくなる。
私は目を反らしたけれど、彼の胸に顔を埋め甘えた。 しばらくするとセンゴクは不器用に私の頭をなでた。
幸せな時間。今度会えるのは1ヶ月先。正直さびしい。
でもきっとセンゴクも同じ気持ちに違いなかった。 |